拍子抜けだろうか。

『奇奇怪怪明解事典』が「奇奇怪怪』へ、だなんて。あれだけ最終巻だなんだと、騒いでいたのに。

蓋を開けたら、たったの4文字を落としただけなんて。

これじゃ、リニューアルじゃなく微ニューアルじゃねえか。

そんなつまらない冗談を思わせてもいるかもしれない。

だが、待ってほしい。
これにはたくさんの理由と意図がある。

昨年末からずっと考えていた改変がなぜこのような着地を迎えたのか。その経緯を

• 1 名前
• 2 アートワーク
• 3 内容
• 4 体制

 

4項目に分けて、順々に説明しようと思う。
長いのだけれど、現時点での私の考えのほぼすべてなので、読んでみてほしい。

まず①名前について

結果は、『奇奇怪怪』になった。
かなり悩んだ。が、今では納得している。

悩みの理由の前に、そもそも、なぜ改名したいと思っていたかを書く。
『奇奇怪怪明解事典』は2020年5月に
コロナで暇を持て余した2人のミュージシャンがそれはそれは気まぐれに始めた番組である。

だから、名前も気まぐれにつけたと言わざるを得ない。

今でも、玉置くんとの当時のLINEを読み返すと赤面してしまうのだが、

とにかく「謎」「不条理」「怪奇」などを面白おかしく言葉にする番組にしたい
＋
いつか本にしたい

という二つの要素を満たしていれば、名前はなんでもよく。
私が『驚異と怪異』という展示が好きだったもんだから、とかそういうのもあって

最終的には、『奇奇怪怪明解事典』という名前に着地した。

思えば、その時からこの名前に確信なんてなかった。だけれども、それを言い出せる雰囲気もなかった。

お互い言葉には一家言あるくせに、同時に自意識の塊でもあるので、なんかこう、その違和感をいちいち表明して関係が拗れたり、Podcastなんかに本気を出す姿を露呈したりして、恥をかくのを無意識に避けていたように思う。

というようなもんで、番組はぬるっと特段の期待もなく開始した。

そんな気まぐれな番組に、やがて誤算が生じる。

予想外に、番組が大きくなっていくのだ。

あれよあれよという間に、父母社との契約や書籍化が決まるし、小泉今日子氏や吉岡里帆氏にまで届くような代物に育った。

リスナーの総称が編纂員から豆等だなんていう、ふざけたネーミングになろうと、変わらず聴き続けてくれる人のおかげである。御礼に、ルービックキューブを配って回りたい。

ところが。である。
そんな順調に大きくなる番組に比例して
私の違和感もぐんぐんと大きくなった。

もはや「事典」なんていうコアアイデアはとうの昔に有名無実化している、『magazine Ⅱ』や『蓋』、あるいは『脳盗』『品品』みたいな名前が実態をリードしてくれるようなプロジェクトでの成功体験を味わうたびに、名前こそがすべてのポテンシャルを決定づけるという自分なりのディレクション論に確信をもつようになった。

と、なれば改名を。とすぐになればいいのだが、ここからがどうにも腰が重かった。

番組は日々更新を続ける必要があるし、
長期的にやりたい空想に脳を使うことの方が当然楽しいので、気づけばいつも改名云々話は、後回しにしていた。

が、書籍化第二弾も決定というタイミングでとうとう事態は動く。
石原さんが独立するというのである。

と、なれば、独立後一発目の仕事には社運がかかる。
と、なれば、書籍のタイトル如何が、他人の命に関わる。
私も自分で会社を興したとき、初月の振り込みが7,000円だったから
失命の足音が聞こえてくる怖さには、理解がある。
いきおい、私の中で改名検証の緊急度が一気に増した。

ここからの具体的な話は、今日の配信で聞いてもらえればと思うのだが、
https://open.spotify.com/episode/6ipYcy4CMSz9rwngjJAAol?si=b0da368d78964496

「象」という象徴と漢字をめぐる、無数の思索を続けた6ヶ月となった。
とりあえず『論象』で決まりかけた時に、待ったをかけてくれた玉置君は英断だった。

まあ、というようなもんで、長々と書いたが、結果としては、番組名は『奇奇怪怪』で決定となった。

いざ決まってみれば、なんてことはない、すこぶるいい名前じゃないか。

今後はこの名前で、末長くよろしくお願いします。

ちな、書籍第二弾のタイトルも『奇奇怪怪』になる予定。
伴って、Twitterのハッシュタグも「#奇奇怪怪」に変えたいと思うので、みなさんスマホで辞書登録おねしゃす。

次に、② アートワークの話。

これ以上ないっしょ、な出来。
かんべっちからデータあがってきたとき、
普通に路上でガッツポーズした。しかも両手で。

アートワークは、画がかんべっち、字が玉置くんなので、俺がやったことは基本的には「こんな感じがいい」を無邪気に伝え続けるだけなのだが、一応その「こんな感じ」を書く。

名前のところでも書いたけれど、
私はこの番組の象徴は「象」に背負わせたいと思っている。
ガンダーラを旅する「象」であり、万物を言葉で「象りたい」我々。
その両方を表現できる象を、アートワーク上でももっと強調したい。

基本的には私はそれしか伝えていない。

あとは、「ガンダーラをゆく」じゃなく「ガンダーラを漂う」という方向へ、番組のノリをチューニングしたいと思っていたから、
リアル象がノシノシと歩くような逞しさではなく、バルーン象が荒涼な砂漠を、だらりと浮いている不気味さが表現できていればいいなと思っていた。

結果、それら要件が満たされるどころか、私の想像をはるかに超えるものが完成した。
相変わらずのスーパーセンスマンの仕事。かんべっちすごい。

「字」についても、書くか。

と思ったが、まあ「字」は玉置君の思想を本人が語るがいいので、多くは触れまい。

国が良くなればいいなとは思う。
選挙に行く人が増えたりとか。
あと物価もどうにかしてほしい。

でも、ほんといいよね、玉置の「字」。

次に③ 内容について

まあこれは、変わらんっすね。
変わろうと思っても、変われない、の方が正しい。

脳盗の方で色々差別化はかろうとした時もあったけど、結果、まあ、変わらないよねって感じだったし。

なので、ご心配なく、前と同じ感じが続くと思います。

強いていうなら「謎」が集まるプラットフォームみたいな志向性にはなるかもしれない。
が、それも意識の問題なので表象としては微差でしょうという感じ。

最後に④ 体制について

更新頻度、変えます。

毎週火曜18;00の週１回＋α
ていうちょっとイレギュラーな形にします。

理由は、めっちゃシンプルに、

番組長く続けたい

に尽きますね。
色々2人とも音楽の方でもばたついてきてもいて、その中であんまりギチギチにルール縛ると普通に番組ごとぶっ壊れる気もしてるので、とにかく長く続けれる体制にしたいなと。

その代わり、この１回はちゃんと面白いテーマで話せたらなと思ったり。
＋αってのは、よっぽど喋りたいこととかお知らせがあったら木曜に配信します。

とか、そんな感じですね。

あとは、まだ言えないけど、新しい展開の準備もしていて、
そういうのにちょっと時間を使っていこうと思ってます。

 

て感じ！終わり！長え！

とりあえず、3年間まじくそありがとう！！奇奇怪怪明解事典！
てことで、書籍版の『奇奇怪怪明解事典』は去年出したあれで最後なので、みんな、喪の記念と石原独立記念に買ってはいかがスカ！スカ！！！！スカああああああ！

https://amzn.asia/d/6CRTbmG